「DB型サイトのSEOを任せられる会社がない」まま膠着していた大規模求人ポータルが、検索セッション2.5倍・AI引用600%増・重要職種で平均2位を達成しました
課題・導入の経緯
クライアントは、特定の専門職領域に特化したDB型の求人ポータルを長年運営してきたメディア企業です。求人情報を構造化して保有する大規模データベース型サイトで、ページ数は数万〜数十万規模に及びます。
主要収益源は「職種 × 地域名 × 求人」型の検索クエリからの流入で、求人リストページが上位を取れるかどうかが応募数・スカウト数・問い合わせ数に直結する構造になっています。しかし、このクエリ群は業界最大手が長年上位を独占しており、クライアントは重要キーワード群で平均10位前後に張り付いた状態が続いていました。
ユーザー側の当初認識は「コンテンツSEOを強化すれば改善する」というものでした。ですが本質的なボトルネックは別にあります。DB型サイトの検索順位を最も大きく動かすのは、ページ内のコンテンツ品質ではなく「リストページに掲載される求人数そのもの」「リストページ群の評価分配構造」であり、コンテンツSEO単体では数桁順位の差はほぼ動かせません。
依頼に至った直接の経緯は、「DB型の大規模サイトSEOを任せられる会社・人材が見つからない」という長年のお悩みでした。一般的なSEO会社はオウンドメディア型(記事コンテンツ中心)の支援が中心で、DB型サイト特有の「テンプレート構造・インデックス制御・内部リンクグラフ・PageRank分配」を扱える人材は限られています。
シュワットが代表自ら大規模DB型サイトの構造設計に深く関わってきた経歴を持つことを知り、ご相談に至りました。
補足要件
- 数万〜数十万ページ規模の超大規模DB型サイトであり、施策の効きどころと副作用が一般メディアと大きく異なります
- 既存テンプレート(求人トップ/職種別/地域別/職種×地域 等)が複数並走しており、評価が分散しがちな構造になっています
- 業界最大手が上位を長年独占しており、相対的な差別化要素を作れるかが勝負どころです
- 開発体制との連携が前提となります(CMSやテンプレート修正、求人取り込み仕様の変更には開発工数が必要です)
- 既存トラフィックを毀損しない形での再設計が条件です(既に月間20万SSの基盤があります)
- コンテンツ制作は外部ライター・クライアント側編集メンバーとの分業体制となっています
PLP一致率データの分析と「順位を最も動かすドライバー」の特定
着手後まず行ったのは、施策のリストアップではなく「数万ページがGoogleにどう評価されているか」のデータ分析でした。
主要クエリ群について、業界最大手と自社のページを、PLP(Preferred Landing Page = Googleが優先的に表示しているページ)一致率を含めて精査しました。業界最大手と比較したときに、検索順位を最も大きく説明できる変数は何かを抽出していきました。
結論は明確でした。「リストページに掲載されている求人数」が、検索順位への影響として群を抜いて大きいということです。コンテンツ品質、被リンク、構造化データなどの他の要素を圧倒する影響力がありました。
これを踏まえ、初期戦略は「コンテンツSEOから始める」のではなく、「リストページ上の求人数そのものを増やす」打ち手を最優先に置くという形に転換しました。クライアントが当初想定していらした施策順序とは異なる方針でしたが、データの示すインパクトの差は無視できないものでした。
求人数の構造的な増加施策──アーカイブ求人とハローワーク求人の活用
「リストページの求人数を増やす」と一口に言っても、新規掲載求人を急に増やすことは営業活動の話になり、SEO施策ですぐ動かせる領域ではありません。
そこで、ユーザー価値を損なわず、かつSEO上のページ充実度を上げられる方法として以下を進めました。
- アーカイブ求人(過去掲載済み求人)の公開設計:完全に消すのではなく、検索結果上での扱いを明示しつつページ内に含める方針を整理しました。求人取り扱いのルール、ユーザーへの誤解防止のためのラベル設計、再応募導線の設計をセットで実装しています
- ハローワーク求人の取り込み拡大:業界最大手が大量に取り込んでいるハローワーク経由の求人について、自社サイトでの取得網羅性を診断しました。取りこぼしの種別と原因を特定し、取得対象拡大を開発側へ提案しました
これらは単純な「ページを増やす」施策ではなく、「リストページの求人数 = ユーザー価値 = 検索評価」という3つを同時に押し上げる設計にしました。地域・職種ごとに掲載求人ゼロまたは極小だったリストページを、ユーザーが「ちゃんと選べる」状態に引き上げることで、検索評価とコンバージョン両面で効果を狙いました。
求人トップと下層リストページの「役割分担」によるカニバリ解消
DB型サイトでは、求人トップ(職種フラットなトップ)と下層リストページ(職種別/地域別/職種×地域)が似たクエリを取り合ってしまうカニバリが頻発します。クライアントサイトも例外ではなく、コアクエリで両ページが順位を奪い合い、結果としてどちらも本来の評価を得られていない状態でした。
業界最大手はここを明確に作り分けており、求人トップはピラーページとして広いクエリを取り、下層リストページはより具体的な検索意図(地域・条件)に絞ったクエリを取る構造になっています。
この構造を参考に、クライアントサイトでも以下を再設計しました。
- 求人トップのコンテンツを「職種全体を俯瞰する情報構造」に組み替え、ピラーページ化しました
- 下層リストページは「その地域・その条件の求職者が知りたい情報」に絞り込み、求人トップとコンテンツが被らない設計にしています
- title・description・H1・パンくず・FAQセクションをページ階層に応じて出し分けています
- titleと検索結果の不一致(h1が代替表示される現象等)を一つひとつ潰し、検索結果上の見え方を整えました
カニバリが解消されると、それまで「片方の足を引っ張っていた」リストページ群が一斉に順位を上げはじめました。
内部リンクとフッターリンクの最適化──「リンクパワー」を重要ページに集める
DB型サイトでは数万〜数十万のページが内部リンクで結ばれており、どのページにリンクパワーが集まる構造になっているかが順位を大きく左右します。クライアントサイトは、重要な職種×地域リストページへのリンクが、PageRank的に弱い位置(フッター等)に集中していました。
リーズナブルサーファーモデル上、フッターのリンクは重要度が低く評価されます。一方で求人リストページはサイト戦略上最も重要なページ群であり、ここにリンクパワーが集まらないと土台が崩れてしまいます。
そこで以下を進めました。
- フッターリンクの「body内移設」:フッターに置かれていた職種別求人リストへのリンク群を、メインコンテンツのbodyエリア内に移動しました。これにより重要ページに渡るPageRankを大きく引き上げています
- トップページから優先ページへのリンク数増加:トップページはサイト内で最もリンクパワーが集まる場所です。ここから人気エリア×人気職種のリストページへのリンクを意図的に追加しました
- ページごとの内部リンク出し分け:単にリンクを置くだけでなく、トピッククラスターに沿って関連性の高いリストページへリンクするよう、ページ単位で内部リンクの内容をコントロールしています
これは数万ページに同時に効くため、テンプレート単位での実装が必須となります。開発側との連携を密に取りながら、段階的にリリースしていきました。
コンテンツ戦略──新規記事制作とリライトを並走、E-E-A-T強化も併せて
DBページ側の施策と並行して、コンテンツSEOも継続的に運用してまいりました。ただしここでも優先順位を明確にし、リソースを分散させない方針を徹底しています。
- 新規記事:職種別キャリア情報、資格情報、業界制度、転職実務(履歴書・面接対策・職務経歴書)など、検索ボリュームの大きいキーワードを月単位で計画的に制作しています。外部ライターとクライアント側編集メンバーを組み合わせた分業体制で量を確保しました
- リライト:過去公開済み記事のうち順位低下傾向にあるものを順位下落数順にリスト化し、月次でリライトを行っています。新規制作よりもリライトを中心に据え、既存資産の劣化を防止しました
- E-E-A-T強化:求人詳細ページのスタッフインタビュー登録数を意図的に増やし、Google検索品質評価ガイドラインで重視される「経験」スコアの根拠を厚くしました。さらに「コンテンツ制作ポリシーページ」を新設し、どのような体制・基準で情報を制作しているかを明示しています
これらの取り組みは2年間継続的に運用しており、リスト型トラフィックと記事型トラフィックの両輪でサイト全体の流入を伸ばしてきました。
被リンク獲得──インフォグラフィックスと独自調査による「コンテンツ起点の自然リンク」設計
業界最大手はメディアやサイトからの自然な被リンクを大量に獲得しており、ドメイン全体の評価が高い状態です。これに追いつくには、ナチュラルにリンクを集めるコンテンツ資産を作っていくしかありません。
そこで2方向の取り組みを並走させました。
- インフォグラフィックスの作成:政府系データ・業界調査データを、引用しやすい形のインフォグラフィックスに加工しました。年次更新されるデータについては、業界最大手より早く最新版を作成し、業界メディア各社に入れ替え打診を行う設計としています
- 自社による独自アンケート調査:自社の保有データ・読者ベースを活用したアンケート調査を実施し、業界外メディアでも引用しやすい一次情報を生成しました
特にインフォグラフィックス施策は、「データ更新タイミングを先回りする」ことで、ピンポイントに被リンク獲得効率を上げられます。1コンテンツあたりの制作工数を抑えつつ、長期的なドメイン評価向上に貢献するアプローチとなりました。
LLMO(生成AI向け最適化)への先行投資
サイトの土台整備が進んだ段階で、生成AI経由のトラフィック・引用に向けた施策にも着手しました。生成AIが情報源として参照しやすい構造化、引用されやすいページ設計、エンティティとしての認知強化を進めています。
具体的には以下の取り組みを進めました。
- 各ページの「事実情報」を構造化データとして整理しています(求人条件、職種情報、地域情報の機械可読化)
- 質問形式に対応するFAQ / Q&Aブロックを強化しました
- 業界・職種に関する一次情報・独自データを含むコンテンツの設計を行いました
- LLMが引用しやすい「定義文」「数値情報」「リスト構造」の意図的配置を進めています
- ブランド指名検索数の改善を狙ったPR施策と連動し、生成AIにおける「ブランドとしての認知」を強化しました
結果として、生成AI経由でクライアントサイトが引用される回数は約7倍(600%増)まで伸びました。求人系の検索行動が今後さらにAIアシスタント経由にシフトしていく前提で、先行投資的に組み込んだ施策が早期に効いた格好となっています。
結果または成果
重要キーワード群で平均10位前後 → 平均2位、月間検索セッション 約20万SS → 約50万SS(2.5倍)、AI引用数は約7倍(600%増)まで伸長しました。
業界最大手の独占を完全に崩すには至らなかったものの、重要キーワード群で2桁順位から2位へと大幅にポジションを引き上げることができました。流入総量も2.5倍に拡大し、サイトの事業貢献度を大きく底上げできています。
- 01 「コンテンツSEOから入らなかった」初期判断:PLP一致率データを起点に、順位への影響が最も大きい変数(リストページ上の求人数)を特定し、そこから施策設計を始めました。一般的なSEO支援が真っ先に提案するコンテンツ強化を、あえて優先順位の後ろに置いたことが奏功しています
- 02 テンプレート単位の構造設計:数万ページに同時に効く打ち手に集中し、個別ページ最適化の局所戦に陥らなかったことが大きな差を生みました
- 03 DBページとコンテンツページの役割分担:両者を競合させず、相互に強化し合う構造を設計したうえで、長期運用に耐える分業体制を組みました
このプロジェクトは、「業界最大手が長年独占する大規模DB型サイト市場で、データ分析を起点に構造から組み直すことで2桁順位帯から上位獲得まで持ち上げられる」ことを示す代表的な事例となりました。求人・不動産・EC・口コミなど、DB型サイトを運営する事業者全般にとって、示唆の大きい取り組みとなっています。
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